六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「夢で、お母さんがそう言ってたの」
「嘘だ……」
「嘘じゃない。
じゃあ貴方は、裏付けをしたの?」
瑛さんは黙って、首を横に振った。
しかし、幼い時分に刷り込まれた事を、すぐには疑えないみたいだ。
「お願い、もう一度調べてください」
「そんな時間はない……
意味も、ない」
「瑛さん……」
「それが本当だとしても。
俺はお前をここに連れてきた。
その事実はもう、変えられない」
彼は苦しんでいる。
お母さんの言葉を裏付けるように、瑛さんの声は震えて聞こえた。
「あたしは……貴方を恨んだりしてない」
「……やめてくれ」
「ねぇ、出ていこう?
貴方のお母さんも一緒に……。
この結界さえ出れば、力が使えるし、皆が向かってるから……」
「もうやめてくれ!」
突然怒鳴られて、
鉄格子をつかんだ自分の手がビクリと震えた。