六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


あたしは負けずに、自分を奮い立たせた。


「貴方は本当に、ここにいたいの?

本当に、あの族長の言う事が正しいと思ってるの?」


「……あぁ、今まではそう思っていた。

疑いもしなかった。

人間なんか、滅びればいいと思っていた」


「瑛さん」


「この世なんか、無くても良いと思っていた。

自分の人生も、誰かが終わらせてくれるのを、夢見ていた」


同じような事を、前にも聞いた。


そうだ、あれは、伊奈との最後の戦いの時。


「だけど……。

母親だけは、守りたかった……。

だから、俺は……」


村に残してきたものがある。


そう瑛さんが言ってたのは、彼の母親の事だったんだ。


「だから、一緒に逃げよう……?」


「無理だ……。

ここには忍が、何百人といる。

それに、母も俺も……ここ以外では生きられない。

一族を裏切れば、美合一家と同じ結末が待っている……」


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