六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
がしゃん、と鉄格子に、彼の額が打ち付けられた。
目の前に近づいた瑛さんの顔は、悲しく歪んでいた。
一族を離脱し、結局不幸な結末を迎えた美合一家を、
思い出したのだろうか。
「……どうしても、ダメですか……?」
「…………」
「瑛さん、あたしが祈るよ。
ずっと、夢見姫のままでいい。
誰とも結婚しないで、貴方の幸せを願うから……」
「……バカなことを……」
鉄格子を握っている彼の指が、いつもよりさらに白くなっていく。
力を入れて、何かをこらえているようだった。
そして、恐る恐るといったように口を開いた。
「すまない……」
それは、消え入るような、小さな声だった。
すまない。
それは。
貴方と、貴方のお母さんのために。
あたしに、『死んでくれ』と言ってるんだと。
わかってるんだね。