六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「アンタが、瑛さんを……!!
絶望に、突き落とした!!
絶対許さない!!
絶対、絶対に!!」
寂しい、寂しい。
あの人は、いつも泣いたような背中をしてた。
周りの人間に素直に優しくできなかったのは、
性格が悪いからじゃない。
優しくされた記憶が遠すぎて、
どうしていいかわからなかっただけなんだ。
信じれば、裏切られる。
そんな事を刷り込まれて。
自分を守るために、他人を傷つけていたんだ。
瑛さんの心は、幼い子供のまま。
必死で、生きてきたんだ。
「許さないだと……?
お前に何ができる!」
バシッ!!
突然の衝撃に、頬が熱を持った。
殴られた、と思うより前に。
悔しさで、涙がにじんだ。