六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「まりあ!!」
顔の前で、バキィッと、なにかが砕ける音がした。
それよりも瑛さんの呼ぶ声で目を開ける。
身体に痛みはなく、
足元には砕けた琴さんの杖と、瑛さんの苦無が転がっていた。
「……瑛様……!」
琴さんは薄く傷ついた腕を押さえながら、涙声で膝をついた。
「行け!!」
瑛さんの声が響く。
「はい!!」
その声に押されるように、何段かの階段を昇る。
あたしは、御簾にたどり着き、それを乱暴に押し倒した。
そこにいた、女の人とは……
「!!」
顔を見て、驚いた。
少し腰を上げたままこちらを見つめるその人は、
夢に出てきた女の人だったのだ。
「琴さんの……お母さん?」
たずねると、彼女はゆっくりと首を縦に振った。
「はじめまして、夢見姫。
私は知立家の星見、考(こう)と申します」