六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
動じているはずなのに、彼女の挨拶はとても優雅だった。
生まれつきの、高貴な人間だけが出せる雰囲気。
あたしはそれに飲まれそうになっていた。
気づいて、声を振り絞る。
「この結界を、消してください」
「それはできませぬ。
やりたいなら、貴女がやればよろしい」
「お願い、早く!
瑛さんが危ないの!」
焦って肩を揺さぶるあたしを、考さんはまっすぐ見つめた。
「……気に入らぬ。
一つも犠牲にしたくないという、偽善的なその瞳。
ほんに、お前の母そっくりじゃのう」
「なっ……」
「こうなることは、星で知っていた。
変わればいいと願ったが、無駄だったようじゃ」
ふふ、と彼女は諦めたように笑った。
「私を殺めなされ、夢見姫」
「!!」
「そうすれば、この結界は消えよう」