六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
考さんは自分が持っていた短刀を、あたしに投げつけた。
「……ようやっと、開放されるか……」
いったい、この人は何を言ってるの?
意味がわからないまま、あたしは刀を握り締めた。
「…………」
しかし、それを彼女に突き立てる事は、どうしてもできない。
「がぁ、あっ……!!」
背後で突然、血を吐くような声がした。
驚いて振り向くと、階段の下で瑛さんがうずくまっている。
「瑛さん!!」
瑛さんの右足首に、ぎらりと光る蜘蛛の糸が、何本も突き刺さっていた。
きっと、こちらにこようとして滋に攻撃されたんだ。
瑛さんの足元が、みるみる赤く染まっていく。
「は、やく……っ!
結界を……!」
苦痛に歪んだ顔が、声を絞り出した。
そうだ。
この人を、死なせるわけにはいかない。
代わりに、何を犠牲にしても。