六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
しかし、簡単にそうさせてもらえるわけはない。
とにかく、彼の傷を癒そうと、念じかけたその時だった。
「そうは、させるか!」
滋が、目の前に短刀を構えて立ちふさがったのだ。
「一族を裏切った罪……
死をもって償え!!」
そう言うと、瑛さんに襲いかかる。
「こいつをこんなところに置いて、
死ねるか……っ!」
瑛さんは最後の力を振り絞り、火炎で応酬する。
しかし、傷のせいか、すぐに炎の勢いは弱くなってしまう。
「まりあ!何でもいい、念じて逃げろ!
お前、だけでも……っ!」
「いや……っ!」
「いいから、余計な力を使うなっ!!
逃げるためだけに、念じろ!早く!!」
「娘の心配をしている場合か!!」
防御か、攻撃か、何を念じればいいのか。
躊躇した、その一瞬で。
滋の短刀が、瑛さんの胸に突き立てられた。