六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
肺が潰れそうな痛みに、涙が浮かぶ。
「よそ見をするからだ」
そう言いながら、ゆっくりと、滋が近づいてくる。
「姉ちゃん!」
太一がこちらを助けようとするが、
自分にまとわりついてくる敵で手いっぱいだ。
「……もっともっと、苦痛を与えてやらねばな」
低い声がして。
また、脇腹に衝撃を感じた。
霊力なんてない、普通の蹴りがめり込んだのだ。
「くっ、あ……っ」
それでも、無防備なあたしを苦しめるには十分だった。
防御する暇もなく、何度も、何度も。
蹴り飛ばされ、転がされ。
「ぅあっ……!」
ビチャ、と背中で嫌な水音がした。
「……見てみろ、瑛。
これがお前の裏切りの結果だ」
暴力が止まり、やっと目を開く。
そこは、瑛さんのすぐそばだった。
制服の背やスカートを汚したのは、瑛さんの血だったのだ。