孤島 臨終朗の誤算
離れた位置から見ていれば、撃剣の火花が、建設現場の上へ上へと上がっている様が見えた事だろう。

みつきと俺、既に何十合という打ち合いが続いている。

「どうした女、威勢よく挑んできた割には逃げ腰だな」

刺突を繰り出すと、みつきは上体を反らしてこれを回避する。

お返しとばかりに放たれる下段からの斬り上げを、俺は容易く受け太刀した。

軽い斬撃だ。

このような斬撃で人は斬れぬ。

それ即ち、この女が人斬りの経験のない証拠。

「人を斬らずして…」

俺は袈裟斬りに死門を振り下ろす!

「強き剣客にはなれんわ!」

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