遊びじゃない
その決心がいとも簡単に崩されたのは、その日の仕事終わり。
ホワイトデーは週末だってのに、『ホワイトデーのお返しがしたいから』って麻生さんからメールの着信があったから。
そんなモンいらんわいっ、ってすぐに携帯を閉じたけれど、でも…このまま引き下がっていいのかと思ってしまったわけよ。
いいように扱われて、何の文句も言わずにあっさりと身を引いて…そんな簡単でいいわけない。
それならホワイトデーでも何でももらえるものは何でもいただきましょう。
『じゃあ、麻生さんの部屋で』そう返信して、帰り支度を整える。
今さら食事なんてご馳走してもらわなくても結構だし、なんならなんでゆうに変なこと言わせたのか追求したっていいんだから、部屋で十分。
ロビーを通り抜けてまだ肌寒い外の空気に触れた時、『じゃ、待ってるよ』とメールが届いた。
時間を指定されるかと思ってたけど、まるでもう家にいるみたいな余裕ぶりに、今日はやけに早く終わったんだなと思う。