遊びじゃない
一応手土産に近くのリカーショップで手ごろなワインを買って、タクシーに乗り込む。
そんなつもりなんて全然ないのに、今日はどんな下着だったかなとか考えて少し早くなる心臓の音にほんとに嫌気がさしてくる。
どうして、気持ちと体は思い通りに連動してくれないんだろう。
今から麻生さんに会えることに期待して、喜んでいる自分の身体が嫌いになりそうになって、膝の上に揃えていた両手に力を入れる。
どうしよう、ほんとに。
勢いで簡単に行くなんて返信してしまったことを今さらながら後悔して、やっぱり都合が悪くなったとか言ってしまおうかと携帯に手を伸ばしたところで無情にもタクシーは麻生さんのマンション前に静かに停車してしまう。
「…なんでコレ選んだんだろ。」
タクシーから降りて、手に提げた紙袋を見つめて溜息をつく。
ワインなんて買ってきて、酔わせてくださいって言ってるようなもんなのに…。