遊びじゃない
転勤の話よりも今飲むもののほうが優先らしい麻生さんは、返事を返さない私の隣にペリエとワイングラスを持ったまま腰を下ろす。
「一緒に飲むために持ってきてくれたんでしょ?」
「そうですけど…」
「じゃあ乾杯しようよ…それとも、ベッドが先?」
「はぁ?」
口端を上げて不敵に笑うその顔を、思わず睨みつけるようにガン見してしまう。
「うちに来たいって言ったのまおちゃんだよね?」
「私はっ」
「まさか、そんなつもりじゃありません、とかって言い出すつもり?」
フッと薄く笑った後、私の腕を取って引き寄せる。
お互いの鼻が触れ合うほどに近づいたまま、しばらく視線を絡める。
何かを期待するかのように心臓が音を立て出して、顔に血が上ってくるのがわかる。