遊びじゃない

「それに…。」

ホッとしたように一息ついてから、ふわりと微笑む眼鏡の奥。

「もう、まおちゃんとこうやって飲みに行けないかなぁって思ったりしてたから…。」

独り言のようによかった、と呟く。

…そんな可愛いこと言われたら恋愛感情なんてなくたって嬉しいじゃない。

それほどの深さではないにしろ、手負いのアラサー女の心にはしゅんと沁みこむ。
なるほどね、昨今の草食系男子の増殖はこういう一面も彼らが持っているからかもしれない。
片肘張って負けるもんかと毎日戦う女にはこのゆるゆる感が必要な時もあるのかも。

思わずじっと見つめていると、急に真顔になったヘラヘラ男は、慌てて「ごめんっ」と目を伏せる。

「何が?」

「や、なんか誤解させたかな…って。」

「誤解?」

困ったように視線が宙を彷徨い、申し訳なさそうに頭を掻いて。

「嬉しいって言っても、その…友達としてっていうか、恋愛感情じゃな」

「こんばんは~。」

どこまでも能天気なゆうの言葉を遮って、いつもの赤ちょうちんの扉をガラッと勢いよく開けた
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