遊びじゃない
「へい、いらっしゃいっ」の威勢のいい声に迎えられて、定位置のカウンターに腰掛ける前に生ビールを注文する。
「ちょっ、まおちゃん、待ってよ。」
情けない声を出して、途中の丸椅子に躓きながらも隣に腰掛けるゆうを無視して、好物の鶏皮と目に付いた焼き物やら揚げ物をどんどん注文する。
「ゆうの奢りなんでしょ?」
「う、うん…」
「今日は思い切り飲んでもいいわよね?」
「え?それは…」
「私の奢りじゃなくても、送ってくれるんでしょ?」
「それはもちろん…」
「で、なんで知ってたの?」
言い逃れできないように黒縁眼鏡の奥を覗き込むと、めずらしく質問の意味を瞬時に理解したヘラヘラ男は、顔を背けて口を噤む。