遊びじゃない
「あぁ、元彼のだけど、ごめんね。」
「や、そうじゃなくて…」
「なに?」
「僕これ、自分で着替えたの、かな?」
恐る恐る視線を上げては、じっと見つめたままの私と目が合って逸らすということを繰り返している。
「私がしたけど…?なにかまずかった?」
「…ご、ごめん。そんなことさせちゃって……えと、僕変なことしなかった?」
「……責任取ってくれる?」
「え?」
眼鏡の奥で真ん丸く開かれた目に堪えきれなくなって手を叩いて笑ってしまう。
「何もするわけないじゃん。ずっとむにゃむにゃ言ってるだけで、住所もなんもわからないし。歩くのはなんとか歩いてくれたから、とりあえず家につれてきただけよ。」
「ごめん……僕がベッドに寝ちゃってて…。」
「だって、ここじゃ狭くて寝られないでしょ?」
「そんな…僕なんて床にでも転がしておいてくれたらよかったんだよ。」
確かに。いつもの私なら多分そうしていたし、その前にうちに連れてきていたかどうかも怪しい。