遊びじゃない

4月に入った週末の昼下がり。

私はソファで紅茶を飲みながら、美織は談話室でドーナツを頬張りながら、入院してからの出来事をゆっくり報告している。

「お陰様で。こうやって自分で歩いて談話室まで来れるんだから、進歩したわよ。」

「そうなの?」

「そ。ベビーは相変わらず小さめらしいけど、血圧はここの食事と安静のおかげでみるみる下がったし。」

「そっか、よかった…。」

「てか、あんたベビードレスちゃんと買ってあるわよね?退院の日には着せたいんだからね。旦那がちゃんと受け取りに行くから、それまでに用意しておいてよ。」

「あ……。」

「まさか、忘れてた?もしかしてホントに買ってないの?あんた遊び人の相手に忙しくて私のベビーのことなんて忘れてたの?」

「あ~、それじゃお大事にね。また産まれたら教えて。」

心配して聞いたはずが、雲行きが怪しくなってきたので言いたいことだけ言って電話を切る。


ベビードレス……すっかり忘れてたし。
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