遊びじゃない
美織との電話から約1週間。
少しは日が長くなったきたけど、それでも会社をでると薄暗くて前髪を蹴散らす風も未だ温くもない。
金曜日だけどゆうは接待だとか言ってたし、昨日もゆうといつもの赤ちょうちんで軽く飲んだところだったし、溜まってる録画していたドラマを見ようかな、なんて考えながら駅から家までの道を歩いていた。
慣れ親しんだ階段が遠くに見えてきたとき、鞄のなかで携帯の着信を知らせる振動を感じて。
「はい。」
ぼんやり光るディスプレイもろくに確認せずに返事をする。
「…出てきたよ。」
「え?…美織?」
いつもより掠れて気だるそうに聞こえるけれど、ディスプレイを確認してもそこにはやっぱり美織の名前で。