遊びじゃない
驚きと申し訳ない気持ちで可愛くない言い方をしてしまう自分もどうかと思うけど、それと同じくらいこの男も胡散臭い。

だってヨレヨレで肩からずれ落ちてるスーツの襟に、ズボンの左太腿あたりに一面に広がる染みと、コンビニの袋が破れて飛び出しそうになっているワインの頭。

何があったらこんな短時間でこんなに酷い事になれるんだろう。

染みの原因は微かに鼻につくおでんの匂いでだいたい想像はつくけれど…こんな状態なんじゃ帰ってくれなんて到底言い出せない。

「まあ、入ってよ。」

そう言ってドアを開け放つと、ようやく息も整ってきたゆうが汗の流れる顔を上げて少し驚いたように目を見開いてから、また俯いて「お邪魔します」とか何とか小声でボソボソ言いながらおずおずと中に入っていくけれど…。

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