遊びじゃない
靴を脱いで一歩足を踏み入れたところで、何か思い出したようにくるりと私に向き直る。

「あの、これ…。まおちゃん元気ないのかなって…一緒に飲もうと思って色々買ってきた。あと、急いでたら他のお客さんとぶつかっちゃって……くさい?」

狭い玄関前で思ったより近くで向かい合うことになって、その姿が目の前に映る。

眉を下げて、なんなら眼鏡もずれて、頭も見事にぐちゃぐちゃで…なんで捨てられた子犬みたいな悲しそうな顔してるのよ。

「臭くない。でも、飲むんなら着替えたほうが部屋が汚れなくていいから、また元彼ので悪いけど…着替えて。」

コンビニの袋を受け取って、とりあえず台所に置いて、クローゼットの奥にしまってあったスウェットを引っ張り出す。

これをこんな短期間のうちに同じ奴に着せることになるとはね。
しかも、何とも色気のない理由で。

まだ同じ場所から動いていないゆうに、バスルームを指差しながらそれを渡す。
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