遊びじゃない
「おじゃまします」と言いながらパンプスを揃えて足を踏み入れると、さっき抱きしめられた時に感じたゆうの香りが身を包む。
そこは普通に3LDKの間取りで、子供がいる夫婦が住んでいたってなんの違和感もない広さで。
私の家には存在しない廊下の突き当たりは、素っ気無いほどシンプルで生活感のないリビング。
テレビなんか無くて、白いテーブルに白いソファが置いてあるだけ。
麻生さんの家のソファとは色も形も違うのに……フラッシュバックする光景に、一瞬自分がどうするべきなのかわからなくなる。
「…まおちゃん、ちょっといいかな?」
後頭部のすぐそばで囁くような吐息を感じた途端。
やっぱり……そう思った。
なんだかんだ言ったってゆうだって男なんだし。いくら草食系で眼鏡女子しか興味なくても、据え膳喰わぬはなんとやらって言うし……。
結局はこうやって部屋に連れ込んでやることやりたいに決まってる。
ゆうとSEXするのが嫌とかしたくないとか、そういうことじゃなくて。
ちゃんと付き合ってるわけでもなんでもないのに、ノコノコと部屋までついて来ちゃうなんてさ。こんなんじゃそういう軽い女だって扱われたって文句の一つも言えないよ。
なんだ、私、また同じこと繰り返してる―――そう思ったら、無性に情けなくなって泣けてきた。