遊びじゃない
男の部屋なんて初めてでもなんでもないのに、なんでドキドキしてるんだろう……。
照れ隠しに、廊下に横たわったままのゆうに眼鏡をかけてみる。
「どう?まだ気持ち悪いの?……なんか飲み物取ってこようか?」
なんだかじっとしていられずに立ち上がりかけた腕を不意につかまれる。
視線を向けても、ゆうはまだ顔を伏せたままで。見てないのによく腕をつかめるもんだと感心したりする。
「なに?」
「…ありがと、まおちゃん。多分少しじっとしてたら治ってくるから。そこ、座ってて」
倒れたまま弱弱しく指差すのはもちろんリビングのソファで。
言われたままに何となく腰を下ろすけど、何もないリビングでしかもこんな状況で寛げるはずもなく。
そして廊下には横たわったまま身動きしない男。
……やっぱりこれってちょっとおかしくない?
こうなってしまったら、今ではなんで私がここに来ることになったのかさえ思い出せなくなりそうだ。