遊びじゃない

私と一緒に泣いてくれるのはこいつなんだと思う。逃げずに受け止めてくれるのはこのまっすぐな瞳なんだと思った。

前髪が少し邪魔する眼鏡の奥。

揺れる瞳は私だけを見て、決心したように一息ついてから口を開く。

「僕がうけとめるから、話してほ」

「妊娠したかもしれない」

手を伸ばせばすぐに触れられる距離で。

見開かれた瞳は内容を飲み込むようにパチパチとゆっくり瞬きする。

「……え?」

「だから、妊娠」

「…それだけ?」

「だけ?」

だけってどういうこと?他になにがあったっけ?妊娠ってだけで十分じゃない?
< 220 / 266 >

この作品をシェア

pagetop