遊びじゃない
妊娠なんて、しかも自分の子供では決してないのに、真剣にう~んと唸りながら考えている姿に、やっぱりこいつでよかったんだと改めて感じる。
子育て真っ最中の美織にも、もちろん両親にも言えるわけがない妊娠の可能性。
怖くて、不安でしょうがなかったのに、口に出せた途端にふっと肩の荷が少し軽くなった気がする。
「よし!」
明るい声で両手をパチンと合わせたかと思うと、にこっと笑顔になる。
「明日病院へ行こうよ。僕も一緒に行くから」
「………うん。でも、いいの?」
「いいもなにも、僕が一緒に行きたいんだよ。……ほんとは死んじゃうような病気を告白されると思ってたんだよ?それくらいこの頃のまおちゃん、顔色も悪かったしダルそうで、明らかに重い病気感でてたし。それに比べたら妊娠したからってまおちゃんが死んじゃうわけじゃないんだしね」
29歳にもなって一人で受診できないなんてほんと、どうかしてると思う。
死んじゃうような病気じゃなかったことと、妊娠してるかもしれないことを比べたら、そりゃ後者のほうが生存率は高いとは思うけど。
第一、死んじゃう病気なら仕事なんてあっさり辞めてると思うけれども。
どういう結果が待っているとしても、この能天気な男だったらその衝撃は多少なりとも緩和されるに違いない。
コクンと首を縦に動かすと、よしよしとさっきまで頬にあった手が頭をなでる。