遊びじゃない
妊娠してないっていう事実は、妊娠の実感もなにもなかった私にはそれさえもまた実感がわかなくて。
お腹に赤ちゃんがいなかったことも、そりゃあホッとはしたけれど、両手を挙げて万歳三唱するような嬉しいことではなくて…結果論だけどもやっぱり寂しい気持ちもあるから。
この気持ちに、いったいどういう決着のつけ方をしたらいいのかわからない。
いや、事実、妊娠してなかったことで安心したっていうか、肩の荷が下りたのは……ある。
遊びで付き合われてた麻生さんの子供を、一人で育てていける覚悟も自信もない。
だから、これでよかったんだ。この結果でよかったんだと思う。
「麻生さんの子供……いてほしかったの…?」
湯気の立ちのぼるマグカップを両手に持ったまま、リビングの入り口で立つゆうは。
慰めるような、哀れんでいるような、優しい声で私を伺う。
誰の子供と、あえて口にしなかったのは、なんとなくゆうを傷つけることがわかっていたからで。言わなくてもわかってただろうけど…ゆうの口からその名前がでるのは嫌だ。
コトンとテーブルにカップを置いて、そのままソファに腰掛けるわけではなく、私と目線が合うように足元にひざまずく。