遊びじゃない

「や~、ほんとウケるんだけど」

目の前のシーザーサラダを独り占めしてワシャワシャ食べる美織は、笑いすぎてうっすら涙まで浮かんでいる。

いや、笑うとこじゃないし、ウケる話でもなんでもないんだけど。

駅から猛ダッシュしたにもかかわらず、先に到着してサッサと席についてた美織は、勝手に高いほうのランチを頼んで、おまけにサラダまで別注文して抱え込むように食べている。

あ~、どうせ間に合わないんだったらゆっくりくればよかったよ。久々に全力出したから脚も痛いし、なんだか腰まで重いかんじ。

遅れたって美織は全然怒ってないし、むしろ先に注文して独り占めしてるし。

呼吸を整えながら、頼みすぎじゃない?と言えば、母乳を出してるからお腹が空くのよ、と生ハムのサラダも追加注文する始末。

ほんとに母乳のせい?っていうか、いくらサラダだってこんなに食べて太らないの?

それでも、大きな口を開けて頬張る美織は、妊娠前とちっとも変わらないように見える。
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