遊びじゃない
トイレを出て、ほとんど手のつけてないランチの続きを楽しもうと席に戻ると、珍しく美織が電話している。
食事中に、しかも店内で電話したりするの好きじゃないはずなのに。
「はいはい、わかったって。もちょっと食べたら行くから」
「どしたの?」
「もう限界だってさ」
恐ろしいスピードでパスタは制覇して、残りはドルチェだけの美織はため息をつきながら携帯を見つめてる。
「なにが?」
「ミルク飲ませてもオムツ替えても泣き止まないってさ」
あぁ、ダーリンからのSOSね。やっぱりママがいないのを敏感に感じ取ってるのかな。
「私はゆっくり食べてくから、先帰ってあげてよ。あ、もちろん奢りだし」
「そのつもりだったけど…ありがとう、ごちそう様。あ、でも、麻央もゆっくり食べてる暇はないわよ?」
「え、なんで?」
「さっき中野に行くって電話したから」