遊びじゃない

最後に残っていたイチゴをパクリと頬張ると、事もなげに恐ろしいことをサラッと告げる。

「な、中野に電話っ?何って言ったの?ってか、何って言ってた?」

「別に。今二人でランチしてるから、食べたら行くねって」

何勝手に約束しちゃってんのよ!どこがどうなると今からゆうと会うことになる?

しかも会ってどうするのよ。なに話すの?生理がきたっていう報告とか?それとも今後の私たちについてとか?

「一緒に行ってくれるの…?」

いつもはペロリと平らげるランチが全然進まない。なのに、美織はもうジャケットを羽織り出してる。

「そのつもりだったんだけどね。残念」

さほど残念ではなさそうに携帯を持ったまま両手を合わせて笑う。

絶対、最初から一緒に行くつもりなんかなかったはず。
恨めしげに下から美織を見るけど、娘が待ってるママに何の効果もあるはずがなく。

「じゃ、楽しんで」とか言いながら混雑するお店の中を颯爽と出て行った。

あぁどうしよ。全然心の準備ができてない。

そりゃあ、ちゃんと謝りたいと思ってたし、病院まで付き合わせたんだから生理がきた報告ぐらいはしておかなきゃとは思うけど…。

それも週末ゆっくりして、心の準備も整えて、台詞も用意してからでも遅くないんじゃない?

結局美織に会うためにダッシュして、化粧だって頭だってちゃんとしてないし、ランチは奢らされるし(まぁ、これは私がわるいんだけど)、急にゆうに会うことになっちゃうし……。



これって、美織に謀られた?
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