遊びじゃない
信号待ちの間にグロスだけ塗って、この間のお店に早足で辿り着く。
刺すような澄んだ空気の冬の寒さは嫌いじゃない。肌がべたつく夏よりはよっぽどましだけど、恋人たちが寄り添って歩く中、コートの襟を立てて1人で歩いているとより一層寒さが凍みる気がする。
店のドアを開けようとして、ふと表の看板に目が行く。赤やピンクのハートでデコレイトされた黒板にはSt.Valentine's Day special dinnerの文字が躍っていて、そういえば今週末はバレンタインデーだったと思う。
今年のバレンタインは土曜日ということもあって、会社に持ち込む義理チョコも用意しなくていいから、大して気にも留めてなかったのに。