遊びじゃない

ドアを開けてすぐに目に飛び込んだカウンターで知り合いのオーナーと笑い合っている麻生さんを見ると、どこのチョコレートを買おうかな、なんて考えている自分に苦笑する。

「残業だった?」

他の従業員のいらっしゃいませという声に、コートを脱ぐ私を見つけた麻生さんは優しく笑いながら近づいてくる。

「待たせちゃってすみません。」

一応謝ってみるけれど、遅れてきたことを気にも留めてないようにその瞳は優しいままだ。

お店の人にコートを預けると、当然というように私の腰に手を回してエスコートしてくれる。

席についてこの間来たときと同じように私を気遣ってくれるところは変わらない。

お腹空いてたらお肉にしようか、とか、今日はワインじゃなくてカクテルみたいなほうがいいかな、なんて気を回してくれる。
< 72 / 266 >

この作品をシェア

pagetop