新撰組のヒミツ 弐






そして、どれほどの時間が経ったのだろう。


我に返った光は、倒れたままの沖田を助け起こすため彼に駆け寄った。息があることを確認し、安堵する。史実の知識から、彼がここで命を落とした訳ではないということは知っていたが、やはり心配なものは心配だった。


名前を呼びながら揺り動かすが、彼の意識は一向に戻らない。


彼の白い顔を見ると冷たい汗が滲んだ。


光は唇を噛み締めて窓に駆け寄った。下では脱走した浪士たちと隊士が激しい戦闘を繰り広げている。


そして、店の周りには多くの新撰組隊士たちがいた。あれは四国屋方面に向かった土方隊も池田屋に到着したに間違いない。


早く沖田を下に運んで治療させなければならない。そして、まだ自らも下で戦っている隊士たちを助けなければ。


そう思った光は、持っていた二つの刀についていた血をそれぞれ拭って鞘に納め、沖田の脇の下から手を入れて彼の上体を起こした。


(……重い)


流石というべきか、細身に見えてその実、よく鍛え抜かれている。なかなか筋肉が付きにくい光とは大違いだ。性別の違いゆえだろう。


苦労して沖田を背負い、彼の傍らに落ちていた刀を回収する。そして、部屋の入り口からそっと廊下を窺って周りに誰もいないことを確認すると、階段の方に回って下りた。


一階ではまだ戦闘が続いていたが、じきに収束しそうな様子だ。新撰組の勝利は少しのことでは揺るがないだろう。光は階段の途中で止まり、戦闘の様子を窺っていた。


その時、首筋の後ろに散りつくような何かを感じた。殺気だ。


光は既にその正体に気づく前に避けていた。敵が上の階にまだ潜んでいたようだ。


大きく刀を空ぶった勢いで足場が不安定な階段で体勢を崩した敵に蹴りを入れてやると悲鳴をあげて階段を転げ落ちていった。どうやら頭を強く打ったらしく、身動きしない。

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