新撰組のヒミツ 弐
池田屋の前の道には、怪我人が多くいる。
一階の戦闘を手伝いに戻るべきかと考えた光は、そもそも二階の部屋に太刀を忘れてきたことに気付いた。
沖田のことで頭が一杯だったのだ。 思わずため息を吐き、灯りが点いている二階を振り仰いだ。
(……誰だ……?)
窓辺から誰かがこちらを見下ろしていた、気がした。一瞬のことであったので顔は分からなかったが、
光はその人影は立花であろうとほぼ確信していた。立花とは、他の誰でもない自分が決着をつけねばならない。
土方には刀を回収してくる旨を伝え、再び池田屋に入った。足音を殺し、二階に上がると、奥の部屋には一人の男が窓枠に腰掛けていた。
(……やはり)
男は部屋に転がる死体を見て、酷い有様だな、と低く呟いた。
「お前には確かめたいことがある」
光はそう言って刀を立花の目線の高さに突きつけた。
「雪様もお前も、あの組織自体が長州の尊攘派に加担している勢力なんだな。お前たちとの関わりを後ろめたく思う私が新撰組に報告しないことを見越して私に接触した。私を連れ戻して再び駒に出来るならばと裏切りの罪を許して新撰組の情報を引き出す機会をうかがっていた。あるいは間者になれと、友だったお前を通じて私を懐柔しようとした。だからあの方は本気で私を消そうとしなかった。隙などいくらでもあったはずだからな」
──古高を問い詰め、立花が計画発案の一人だと知った。
その時、雪との繋がりを疑ったが、吉田という男の言葉からもその疑いは外れていなかった。