涙が途絶える日まで

ゴツッ

するするっ

『え…』

手首が離されたのと同時に変な音が聞こえた。

「てめぇ誰の女に手ぇ出してっか分かってんの?」

「ちゅっ中坊のくせに調子のんな!」

「おい。」

恐る恐る目を開けたら…

『ら、來弥!?』

なんでここに…

「気付いたらお前いねぇし。

そしたら通りがかったやつが

あっちに可愛い女の子が1人でいた

って言ってたから。」

『そんな…』

可愛いの一言しかなかったのに…。

「っつか何ナンパされてんだよっ」

『そんな…私に言われても…』

「んな可愛いかっこしてんなら絶対俺から離れんな。」

『え…どういう…』

「2回も言わせるなよっ!可愛いっての。」

ふふ。

にやけちゃう。どうしよう。私絶対顔に出てる。

『へへ~』

「げっ。何その顔。」

『なっ!』

やっぱり意地悪だ。でも好きだからいいの。

『絵玲奈たちは…?』

「先帰ったよ。2人にしたいとかって」

気ぃ使ってくれたんだね。

『來弥?』

「ん?」

『帰ろっか!リンゴ飴買ってから♪』

「ふはっ。そだな。よしっ行くか」

『うんっ!』

何も言わずに差し出してきた手に

自分の手を重ねて握る。

そしたら來弥はもっと強く握ってきた。

「留美ー」

『なにー』

「俺幸せもんだよ」

私もだよ

声には出せなかったけど

少し強くきゅって手を握ったから

きっと伝わった。

この幸せがずっとずっと続きますように。

そう願った13歳の夏はあっというまにおわった。


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