涙が途絶える日まで

それから5分くらいして

三浦の姿が見えてきた。

「あのさっ・・」

『なんで私は振られたの?
知ってるんでしょ。
何で隠すのよ!』

「いや。だって。」

『お願い。お願いだから・・・』

「傷付いてもしらねーぞ?」

『ん。』

「なんかさ、女子ん中で

<夢月 羽花葉>っているじゃん」

「むつき わかば」は

周りに人がいないと

ダメなタイプの子たちの

リーダー的存在。

『で、その人がどうしたの?』

「そいつが、お前の悪いとこばっか
  來弥に言ってたらしくてさ。」

私の悪いとこ?

「あー・・・。実際のじゃなくて、
 多分あいつの作り話?」

『ん。いいよ。大丈夫。』

「ごめん。それで・・・。」

三浦が妙に優しい。

こういうときって

みんな優しくなるんだね。

違う。

こういう状況になったから気付けた。

私が気付かなかっただけなんだ。

ほんと、最低だ。

「その夢月ってやつ、來弥のこと
 好きみたいでさ・・・。」

『ぐすん・・・ん。』

やばい。どうしよう。

「・・・っ。」

私が泣いてたら三浦が話せないよ。

『それで?』

「で、
 あいつ、來弥が嫌がっても
 お前の悪口言うのやめなかったんだ。」

『嫌がってもって・・・』

「あぁ。

 やめろ。あいつのことは何もゆうな。

 ってさ。」

『彩部が』

最後にそんなこと聞きたくなかったな。

「それでも夢月、

あんなブスよりとか、
あんなデブより私の方がって。
あいつみんなに悪口言われてるよ。
來弥くんの評判さがっちゃうよとか、

 言い続けたんだ。一種の洗脳かもな。」

『それを信じて私を振ったってこと?』

「は?
お前まで來弥のことわかってないんだ」

え?

ははっと笑うと、

軽蔑した目でこっちをみた。

「來弥がどんな気持ちで
振ったかわかんねーんだ。」

『じゃあ三浦には分かるの!?』

「当たり前じゃん!」

なによ。

「よかった。來弥と別れてくれて。」

え。なに?今なんて・・・

「お前みたいに來弥の気持ちも
 わかってねーやつと
 付き合ってほしくねーし。」

な、なによ。

「じゃ、さようなら。」

なんなのよ。もう。

結局私は1人、うずくまって泣いていた。

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