call my name
藤倉智也とは、夏希と同じで小さいころからの幼馴染みだった。
小、中、高と一緒で、ずっと三人で行動することが多かった。
いつからかは覚えていないけど、あたしは智也のことが好きだった。
だけど、この関係が壊れることも嫌だったし、今の自分達の関係が好きだからずっとこのままでいいと思っていた。
でも、変わらないものはなくて、川を流れる水のように絶えず変わり続けていっていたということを知った。
あの日、あたしの17回目の誕生日まであと一週間の日、いつものように三人で過ごしていた。
冬休み真っ只中に、あたしの部屋でごろごろとしていた。
過ごすといっても特に何かをするということはなく、一人ひとりが思い思いの何かをしているだけだった。
あたしは適当な雑誌をベッドの上で読んでいた。
「なぁ、紗雪」
ベッドの下で漫画を読んでいた智也が不意にあたしの名前を呼んだ。
目線だけ向けて返事をする。
「んー?」
ごそごそとポケットを探って、紙袋を取り出した。
「ちょっと早いけど」とそれをあたしに向かって差し出す。
「何?」
「んー、誕生日プレゼント」
一瞬だけど、驚いた。
いつ智也からプレゼントを貰うなんて、以来だろうか。
小学校の時以来な気がする。
「あ、ありがと」
それを受け取って、袋を開けると、ネックレスが入っていた。
手に取ってみると、トップが三日月と星を模ったもので、星には綺麗なクリスタルが付いていた。
「わ……本当にありがと。大切にする」
自然と微笑みがこぼれた。
気恥ずかしさもあったけど、やっぱり嬉しい。
「ん。あとさ」
頭を掻きながら智也が言う。少し目線が泳いで、言葉を続けた。
「紗雪には一番に言わないとって思ってさ」
「何?」
目くばせをするように智也が携帯を触っていた夏希を見る。
少し夏希の顔が赤くなるのと、緊張したような顔つきになったような気がした。
胸の奥がざわつく。