call my name



次の日から、入学の手続きや身体測定などが始まった。

その度に部活の勧誘が行われていた。

全部の部活が必死で、健康診断の行われた建物の外には、ものすごい群衆が入口に押し寄せていたのが印象的だった。

ラグビー、硬式テニス、野球など医学部の部活がこぞって勧誘にやってくる。

美咲に誘われたりして、様々な部活のイベントに参加した。

バーベキューやイチゴ狩りなど、とにかく楽しめるもの中心に参加した。

花見にも別の部活で参加したが、あの時の失敗を生かしてお酒は適度に飲むようにした。

それでも十分楽しめたし、友達も男女関係なくできた。



そういったイベント事も徐々に収束していき、授業も始まりだした頃の夜、美咲の部屋でご飯を食べていた。

二人で楽しみながら料理を作って、それを食べた。


「紗雪さ、何部入るか決めた?」

「んー、特には決めてないかな」


いろいろな部活のイベントで言われたことは、どこかの部活には所属した方がいいということだった。

まだまだ先の話になるが、医師の世界でも看護師の世界でも上との繋がりが大切な社会ならしく、部活に入って、先輩を知っていることで実習先なども決めやすいらしい。

これといってスポーツも習い事もしたことがなかったあたしは、どの部活に興味があるのかということは特になかった。

しいて言うなら、陸上部の中のジョグ部というのが楽そうかな、と思ってはいた。

ゆっくりとのんびり走るだけと聞いていたし、長距離の選手の人達とは違って大会に出る必要もないし、何かのイベントに自由に参加していいということだったから。


「ほんならさ、サッカー部のマネ一緒にやらへん?」

「えー……」


一瞬躊躇いが生じた。

サッカー部にはあの人がいる。

あの苦手な人。

あの一件以来、サッカー部のイベントには参加していなかった。

一回行ったことがあるからいいやと思ったことと、正直、苦手な人は避けたいという思いもあった。


でもまぁ、美咲がいるなら……。


「いいよ」

「ホンマに? なら、今メール送っとくわー」


そう言って、美咲は携帯でメールを送っていた。
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