cafe au lait
「私は、モノじゃない!」
「そう言うと思ったよ。あ、それから一つ」
「なに?」
彼は、面白そうに笑った。
「俺、トーコさんより年上です。二十八」
「えっ? えーーーっ!!!」
「それなりに人生経験豊富ですから、安心して飛び込んできてくださいね」
─────最後の出勤日は、押さえつけられてキスされて、サービスのカフェラテを飲み干し、歩いて工場に出勤する。
昨日まで、遥斗は自分の娘にプレゼントすると言ってベビーベッドを作っていた。
いつかその子が産まれてきたら、遥斗
はどんな顔で見守るんだろう。
「本当に、十和子やめるの?」
遥斗は、昨日と同じ服装で私を待ってた。
「はい、お世話になりました。あ、でも、もらうものはきちんともらっていきます」
「はいはい」
遥斗から退職金の入った封筒を手渡される。
「こんなに!?」
その厚みから、私は少し驚愕した。
「全部、千円札だったりするかもよ。中身確認してから驚けよ」
遥斗は絶対そんなことしない男だ。
「でも、奥さんに悪い…………」
これは自主退職なんだから、遥斗は負い目を感じる必要なんてない。
「慰謝料、口止め料込みだ……だから最後にもう一度抱いていい?」
私は、分厚い封筒をそそくさと鞄にしまう。
「だめ!
受領書は要らないですよね? 社長」
「十和子……」