cafe au lait



 まだダメだ。その低い声で囁かれると、胸がギュンとなる。


「十和子、ごめんな」


 謝らないで欲しい、その手で触れられて、その瞳で見つめられるのに弱い。


「もう、行きます」




 最後に工場を見渡す。ここは、元々遥斗の実家の物置小屋だった。

 工具は隅に無造作に散らかり、おが屑が散らかっている。

 私が使っていた机は、綺麗に片付けられていた。




「さよなら、遥斗」


「またな、十和子」



 また……は、もうないほうがいい。

 もう一度「さよなら」と伝えて私は工場から出た。

 振り返らない。


 もう終わった……


 これでよかったんだ……





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