[短編] 昨日の僕は生きていた。
「僕も学校行っていー?」

「勝手にすればっ?」

 相変わらず酷い言い草だけど、香織ちゃんが本当は優しいんだって僕は知っている。
 (彼女はいわゆるツンデレ)

 僕がいつか成仏したら、香織ちゃんは誰をからかってストレス解消するんだろう。
 そんな事言うと僕が可哀想な人みたいだけど。

「ねぇ、僕って何で死んだの?」

 たいした事を言ったつもりじゃなかったんだけど、香織ちゃんは黙ってしまった。

 困った顔をしている。
 少しして、低い声で言った。

「…事故よ、事故。車に、撥ねられて…」

「へぇ…、あっけないね」

「ほらっ。もう学校だから話しかけないで!」

 いつの間にか学校に着いていた。
 変わらない生徒達の登校風景。いつもと違うのは、『僕』がいない事。

 複雑な気持ちのまま、香織ちゃんの後を追って教室まで行った。
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