[短編] 昨日の僕は生きていた。
「せっ先生……、昨日のいつですか?」

 隣の席の吉川さんが質問した。そういえば僕も昨日のいつかなんて知らない。

 ゴリ夫の返事を待った。

「昨日の夜8時くらいに……自宅で首を吊って、自殺していたそうだ」

 ――え?

 自殺? ゴリ夫、なに言ってるんだ?

「夜中に両親が発見した時にはもう……」

 どういう事だ?
 ゴリ夫は何を勘違いしている?

 訳が分からなくなってきた僕は香織ちゃんの席へ行って、彼女に話しかけた。

 話しかけるなって言われたけど、そんな状況ではない!


「香織ちゃん……香織ちゃんは、僕は事故で死んだって言ったよね?」

 彼女は何も言わない。
 ひどく難しい顔をしていた。


「僕、自殺したの?」

 そう言った時、香織ちゃんは教室を飛び出していってしまった。

 ゴリ夫が香織ちゃんを呼ぶ。
 僕は彼女を追いかけた。


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