[短編] 昨日の僕は生きていた。
昨日は雨だった。
僕は学校帰り、香織ちゃんとの下校途中で彼女に話があると言われ、公園に寄った。
珍しく真顔の彼女から出てきた言葉は、ひどく僕を混乱させるもので――。
『別れよう雪彦。』
『へ?』
『もうあんたのヘタレ具合に嫌気が差したのよ。いい加減。』
――恋人が別れるだなんてよくある事だし、日常茶飯事なんて人もいるだろう。
ただ、たったそれだけで自殺を決行した僕はどこまでもヘタレだったようだ。
いや……違う。
僕にとって香織ちゃんは全て。ヘタレな僕でもいい、って笑ってくれた大切な人。
彼女から別れをきりだされる事は、僕にとって自殺をする程の絶望だった。
昨日の記憶を思い出した僕は再度、香織ちゃんの話に耳をかたむける。
「今さら言っても遅いけど――私、雪彦が“別れたくない”って言ってくれたらヨリを戻すつもりだったの」
「どういう事?」
「雪彦って自分の意見をあまり言わないでしょ……。もし別れるのが本当に嫌だったら、ハッキリ言ってくれるかと思って……!」
香織ちゃんの涙は止まらない。
そうかあの時――僕はなにも言わずに香織ちゃんと別れてしまったんだ。
僕は学校帰り、香織ちゃんとの下校途中で彼女に話があると言われ、公園に寄った。
珍しく真顔の彼女から出てきた言葉は、ひどく僕を混乱させるもので――。
『別れよう雪彦。』
『へ?』
『もうあんたのヘタレ具合に嫌気が差したのよ。いい加減。』
――恋人が別れるだなんてよくある事だし、日常茶飯事なんて人もいるだろう。
ただ、たったそれだけで自殺を決行した僕はどこまでもヘタレだったようだ。
いや……違う。
僕にとって香織ちゃんは全て。ヘタレな僕でもいい、って笑ってくれた大切な人。
彼女から別れをきりだされる事は、僕にとって自殺をする程の絶望だった。
昨日の記憶を思い出した僕は再度、香織ちゃんの話に耳をかたむける。
「今さら言っても遅いけど――私、雪彦が“別れたくない”って言ってくれたらヨリを戻すつもりだったの」
「どういう事?」
「雪彦って自分の意見をあまり言わないでしょ……。もし別れるのが本当に嫌だったら、ハッキリ言ってくれるかと思って……!」
香織ちゃんの涙は止まらない。
そうかあの時――僕はなにも言わずに香織ちゃんと別れてしまったんだ。