墓場が似合う女神へ手を伸ばす


一国の姫君が住むには小さい屋敷。

華美な装飾はもとより、従者もいないのは姫の意向でもあるとクロスも知っていた。


自分のことは全部、自分でしてみせる。


だから周りの労力を減らして、この苦労の分、周りが何かしらの得をしてほしい。


一国の主として完璧な形。無欲な王女は、民の欲を満たしてみせた。


「もっともロードはあまりいい顔はしませんでしたねぇ。せめて従者――身の回りの世話をする人ぐらいはと言っていましたが、それこそ要らないと思いまして。衣服も食事も最低限でいい私でしたが……」


まったく、とため息混じりで彼女は続けた。


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