なつものがたり
届かないと思っていた。
叶わないと、わかってた。
一目惚れをしたその日に失恋した、この恋。
「海、行くか?」
明るくなってきた空を見て、希鷹が呟く。
「うん、行こっか、海。」
夜が終わる気配。
夏が終わる気配。
朝がやってきそうな薄明るい公園で、
手をつないでる。
希鷹と、手をつないで歩いてる。
胸いっぱいに広がる幸せ。
これから、大変なこともたくさんあると思う。
蒲田さんのこと、
希鷹の兄貴のこと、
ほかにも、たくさん。
でも、この暖かい手の持ち主の幸せを今度こそ、願おう。
そして、この人の笑顔を守ろう。