君の知らない空


「なるほど、それはそうだ。誰か聞かれたら困るか……で、外泊は初めてなのか?」


冷ややかな目が一変して、きょとんとした顔に変わる。もう、どんな反応していいのか分からなくて、イライラしてきた。


「当たり前でしょ? 女の子が急に外泊するなんて言ったら、気になるに決まってるでしょ? そりゃあ、初めてじゃないけど……」


なんだか失礼な質問だ。外泊ぐらいしたことある。桂一と一緒ではないけど、優美と旅行したり。


「よし、分かった。じゃあ、こうしようか? お前は会社の同僚の白木美香の家に泊まった。いや、それとも古賀優美の家に泊まった方がいいか?」


周さんはキッチンの扉に掛けたタオルで、丁寧に濡れた手を拭いた。あまりにも丁寧な拭き方から、この人は神経質なのかと感じた。


「何でそんな曖昧なんです? はっきりと教えてくれないと、私だって説明できないじゃない。隠さないで教えてくれてもいいでしょう?」

「そうだなぁ……しかし、さすがに彼氏の家に泊まったとは言えないだろ?」

「当たり前でしょ?」


きっぱりと言い返した。腹を立ててるんだぞと思いきり表情に出してみたけど、効果のほどはどうだろう。


「とりあえず、座ったら?」


にやりと意地悪な笑みを見せて、周さんが私の方へと向かってくる。あまり効果は無かったようだ。


私は、ふうと息を吐いた。
言われたとおり、身を預けるようにソファに腰を下ろした。その反動で体が跳ね上がる。隣に座っていた彼が、前のめりになって呻いた。


「あっ、ごめんなさい……ほんとにすみません」


慌てて謝ると、彼は微笑んだ。



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