君の知らない空


この頃から、私は桂一との将来を真剣に考えるようになっていた。


桂一からはまだ何を言われた訳でもなかったけど、勝手に妄想だけが進んでしまう。


馬鹿だな……
と思いながらも、穏やかな桂一と一緒に
居られたらどんなに幸せだろうと。


「惚れたら負け」
高校生の頃、友人に言われた。


だから、あの頃付き合ってた彼氏には絶対に自分から好きだとか、会いたいなんて言わなかった。
自分から電話したり、呼び出すこともしなかった。


今は違う。


自分の気持ちを素直に伝えたい。


私を変えたのは、桂一だ。


やがて桂一は、
私の勝手な妄想を現実に変えてくれた。



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