君の知らない空


「計器チームのチーム長の前に座ってた子、誰? 新しい子?」


自販機の並ぶリフレッシュコーナーで、アイスコーヒーを飲みながら優美に尋ねた。


「そう、今日からだって。
可哀想に、今日はみんな遅れるから昼イチに紹介されるみたいだよ」


「そうだね、こんな日に入社なんてね、結構若い感じに見えたけど、いくつか聞いた?」


私が尋ねると、優美は誇らしげな笑顔を見せる。


「若いよー、21でS短大卒で。家はすぐ近くみたい。車通勤だって」


こんな時、部長室の庶務をしている優美の情報収拾力は役に立つ。


「若っ、私たちより、4つ? 5つ下?」

「だね……私たち、もう26歳になるんだもんね」


溜め息混じりの優美の言葉が、何だか悲しかった。


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