君の知らない空


「いい加減な事を……高山さん、君はこの男の仲間だったのか、だから美香に近づいたのか?」

「違う、本当に彼はあなたを守るために……信じてください」


声を荒げる綾瀬に必死に縋ったけど、綾瀬の腕は強く亮の胸を押さえつけて離れない。


「信じろという証拠は?」


問いただす綾瀬の声に紛れて、玄関から荒々しい足音が聴こえてきた。振り向くと、先輩と玄関の外で見張っていた二人の男性。


「綾瀬さん、お目覚めですか? 刺客を取り押さえるなんてスゴイじゃないですか」


先輩の嫌味混じりな声に、綾瀬の手が緩んだ。亮は体勢を整えて、綾瀬を庇うように進み出る。


「水野か、いい仕事をすると思っていたが裏切るのか?」


先輩の名を呼んだ綾瀬の声が震えている。部下の裏切りに、怒りを抑えきれないのだろう。


「はい、もっと報酬のいい仕事が見つかったので、今日で辞めさせてもらいます。綾瀬さんには今までお世話になりました」


先輩と二人の男性が、ゆっくりと亮と綾瀬に歩み寄ってくる。私は亮の背を見つめながら、ただ祈ることしかできない。


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