君の知らない空
「許されると思うか?」
綾瀬が懸命に、冷静さを保とうとしている。それを察したように、先輩はにやりと笑う。
「綾瀬さんに許してもらわなくても構いませんよ。どうします? 刺客と相打ちがいいですか? それとも別の方法?」
怒りに拳を震わせていた綾瀬が、先輩に踊り掛かる。先輩のそばにいた男性に掴みかかられそうになったところを亮が払い退け、綾瀬の前に立ちはだかった。
「アンタも自分から捕まりにくるなんてバカか? こんなに簡単に部屋に入れるなんておかしいと思わなかった? 彼らが弱すぎるとか思わなかったの?」
二人の男性の陰に隠れて笑う先輩の顔を見て、私はぞくっとした。胸の中で、不安が疼き始める。
亮は嵌められたんだ。玄関の外で見張っていた二人が、亮を部屋の中に誘い込むためにヤられたフリをしていた。
「でも、期待通り来てくれて嬉しいよ、この二人も綾瀬さんの側近に負けないぐらいだよ? 怪我してるアンタが敵うか、ここで試してみる?」
凍りつきそうな言葉を合図に、男性らが亮に飛び掛かった。
「やめて!」
駆け出す私の腕を、綾瀬が掴んで制止する。目の前で男性らと絡み合いながらも、亮は私と綾瀬を気にしている。そのせいか、形勢は不利に見えた。