神様さえも朽ちらせる忌わしき呪物
 
 「どうしてこんなところにいるの?」

 聞いたのはミッシェルだった。

 雪の降る空の下、廃屋に背を預け、人々の足音に存在さえもかき消されてしまいそうな惨めな自分と、少年はどうも合わないような気がした。

 同じようにして座る少年の物腰は優雅で、仕草一つとっても無駄が無く孤児や物乞いには到底思えない。

 そんなミッシェルの問いかけに驚いた様に目を見開き、少年は首を傾げた。

 「追われていて、仲間が負傷したんだ。それでここに。本当は探し物をしていたんだけど、君をみつけた」

 ミッシェルの瞳を覗き込むようにして少年は笑っていた。

 
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