キウイの朝オレンジの夜
「・・・ダメ。見てたらヤバイ。テーブルの支度しよ」
そして背中をむけて、新聞紙が積まれた机の上を片付けだした。あたしは笑ってしまった。
宅配は本当に来るのが早かった。
稲葉さんの一人暮らしの小さなテーブルに並べられる中華料理を、一緒に食べる。
「・・・酢豚ひっさしぶり。めちゃ美味しいですねえ~」
あたしがどんどん箸をのばすのを嬉しそうに見ていた。
「よしよし、どんどん食え」
はあー・・・あたし、お腹空いてたんだなあ~。悲しんでたはずなのに、ちょっと自分が薄情に感じてしまう。
だけど、ちょっと食べすぎ?さっきから、稲葉さんはご飯はあまり食べずにビールを飲んでいる。
「食べないんですか?お腹すいてませんか?」
あたしが聞くと、軽く笑う。
「支社長と遅い昼ご飯食べたから」
―――――――ふうん・・・?箸をとめてしばらく考える。・・・今日は稲葉さん、あたしの欠席の為に支社に行ったんだよねえ。営業部長と話するんだと思ってたけど・・・支社長!?